书名 战国小町苦劳谭
(相关资料图)
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十三年 八月中旬 (*原文网页序列号 - 126)
静子の目論見通り、明智軍の後方に静子軍本隊が追従し、静子と竜騎兵、護衛だけが光秀と共に行動するという形で朝倉軍を追撃することとなった。
按照静子的计划,静子军主力队跟随明智军后方,静子、龙骑兵和护卫与光秀一起追击朝倉军。
互いに共闘の経験がない為、無用の混乱を避けるために前後に分けて配したというのが光秀の言だが、この状況へ持ち込んだ手柄は明智軍に在りと信長が認めているのだ、戦功を得る機会は優先的に与えられて然るべきであった。
光秀认为互相没有共同战斗的经验,为避免无谓混乱,前后分配部队是明智军的功劳,但信长认为,明智军是导致这种情况的罪魁祸首,应优先给予战功奖励的机会。
しかし、この布陣も静子にとっては好都合であった。勢いに乗った勝ち戦とは言え、白兵戦となれば兵の損耗は避けられない。
然而,这种布阵对静子来说也是一个好机会。尽管在士气高涨的背景下获得了胜利,但如果是白刃战,兵力损失是无法避免的。
既に勝敗が決した消化試合で僅かの手柄を立てるためだけに、苦心して育て上げた兵を擦り減らしたくは無かった。
她不想为了赢得微不足道的功劳而消耗了辛苦培育的兵力,这场已经获胜的消耗性比赛已经结束了。
猛追する明智・静子軍だったが、越前と近江の国境(くにざかい)付近で、その足が止まった。道が二手に分かれており、どちらを朝倉軍が通ったのか判断しかねたためだ。
明智和静子的军队猛烈追击,但在越前和近江的边境附近,他们的步伐停了下来。由于道路分歧,无法判断朝倉军究竟走了哪一条路。
史実においては、義景が刀根坂を通って疋壇(ひきだ)城を目指したとされるが、既に史実とは別の道を進んでいるため、史実通りに刀根坂を選んだと言い切れないでいた。
虽然史实上,义景被认为经过刀根坂前往疋壇城,但由于他们已经走了另一条路,不能断言他们选择了与历史相符的刀根坂。
それならばと地面に残された足跡で判断しようともしたが、どちらの道にも大勢の人間が通ったと思わしき無数の真新しい足跡が残っており、判断の材料とはなり得なかった。
然后,他们试图根据留下的脚印来判断,但无论哪条路都留下了许多看似是大批人的新鲜脚印,无法成为判断的依据。
(戦術的に考えても史実通り疋壇城と敦賀城のある刀根坂方面を選ぶと思うんだけど、追い詰められて道を間違えた可能性もあるよねえ)
(从战术上考虑,我想他们会选择通往疋壇城和敦贺城的刀根坂,但是追逼之下,也有可能会走错路)
神懸かり的な勘の冴えを見せる信長が居ない以上、大将である光秀が判断を下すべきなのだが、彼は未だに結論を出せずにいた。
除非有具备神奇直觉的信长在场,否则大将光秀需要做出判断,但他仍然没有得出结论。
貴重な時間をいたずらに費やしているその場に、雑兵たちの恐怖に駆られた悲鳴が届く。敵襲かと身構えもしたが、困惑した雰囲気があるだけで戦闘の気配はない。
在这个浪费时间的场合,士兵们被恐惧所驱使,传来了惊呼声。虽然做好了战斗的准备,但只有困惑的氛围,没有战斗的迹象。
兵士たちの海を割るようにして近づいてくる人影が見え、それは下馬すると得物を馬に立てかけ、無手で歩み寄ってきた。
可看见一道道士兵们犹如劈海迎面而来的身影,而当他们下马并将战利品靠放在马上时,孤身一人地走了过来。
「よお! こんなところでいつまで油を売ってるんだ?」
“嘿!你们什么时候才会结束这个地方的油水生意啊?”
耳慣れた声に光秀や静子も肩の力を抜いたが、相手が近寄るに連れてその異様な姿が明らかになった。声の主は越前への近道となる椿坂へ通じる道からやってきた長可であった。
在听到熟悉的声音后,光秀和静子也松了一口气。然而当对方走近时,奇异的外貌变得分外明显。发出声音的人是通向越前的椿坂的道路上来的长可。
しかし、その風貌は近づく程に濃密となる血臭と、未だに湯気を立てる血脂でてらてらとぬめり光る甲冑により、およそ人だと思えぬ風体をしていた。
随着他的靠近,那浓烈的血腥味和仍然散发出蒸汽的血脂,使得那被粘乎乎地闪光着的铠甲身躯,已经看不到的样子了。
頭から血と内臓を被ったかのような有様を見て、殆どの人間は絶句してしまい口を開けなくなっていた。
审视他从头到脚被血液和内脏覆盖的模样,几乎所有人都被吓呆了,无言以对。
「残念だが、朝倉軍本隊はこっちを選ばなかったようだ」
“很遗憾,早川总队会没有选择这里吧。”
自分の後ろを指さしつつ、長可は不敵に笑う。
长可指着自己的背后,神气十足地笑着。
「朝倉軍は椿坂へは向かっていないと見て相違ないか?」
“你认为早川军没有向椿坂方向行进,是这样吗?”
光秀が確認を兼ねて念を押す。長可は戦意に高揚した凶相を浮かべて断言する。
光秀再次确认。长可带着高昂的战意,断言道。
「ここを通れた(・・・・・・)朝倉兵はいない(・・・・・・・)」
“可以通过这里,早川军不会来。”
本人の言通り朝倉軍本隊ではないにせよ、少なくない人数の足跡があったにも関わらず長可は断言した。
长可断言不是早川总队,但有相当数量的人留下了脚印。
今も甲冑から滴る返り血と、彼が残した真っ赤な足跡を見て誰も異論を唱えられなかった。
看着甲胄上还残留着红色的血迹,以及他留下的鲜红足印,没有人有异议。
「ならば敵は椿坂ではなく、刀根坂を通り撤退しているはず。味方の城へ逃げ込まれる前に追撃を掛けるぞ!」
“那么敌人不是朝露坂,而是通过刀根坂撤退了。在他们逃到盟友的城堡之前,我们要追上他们!”
判断の材料を得た光秀は迷わなかった。今は一刻も早く朝倉軍に追いつく必要がある。光秀の号令を受けた明智軍は、隊列を整えると刀根坂を目指し始める。
光秀已经下定了决心,他需要尽快追上早川军。明智家军接收到命令,在整装待发后朝刀根坂进发。
「お疲れ様。あの暴風雨の中、良く先回りできたね」
“辛苦了。在那场暴风雨中,你们很好地超越了我们。”
信長が大嶽城を攻めていた頃、慶次と長可は手勢を率いて朝倉軍の陣を突っ切り、背後に駆け抜けていた。
当信长攻打岩阁城时,慶次和长可领着手下突破了早川军的营地,并猛冲向了他们的背后。
夜間の暴風雨により見張りが減っていたとはいえ、露見すれば包囲され殲滅されたであろう決死の行動だ。
尽管由于夜间暴风雨,值班人数减少,但若被暴露,他们也将决然行动,遭受包围和歼灭。
見事朝倉の監視を潜り抜け、彼らはこの分岐点に先んじて到達していた。しかし、彼らもここで静子達と同じ命題に頭を悩ませることになる。
他们成功地躲过了朝倉的监视,在这个分岔路上比他们提前到达。然而,他们也将面临与静子等人一样的命题。
二つに一つと山を張り、椿坂の奥で陣地を構築して待ち伏せした。
他们在山的两侧设下伏击,在椿坂深处筑起阵地。
生憎とハズレを引いてしまい、彼らは本隊から落伍した兵士たちを倒し尽し、追撃してくるであろう味方へと正解のルートを示すべく合流したのだ。
遗憾地,他们没有碰上自己的军队,而是与落队的士兵战斗并合流,以向即将追击的盟友展示正确的路线。
潰走している朝倉軍からすれば長可を前にした時の絶望は想像を絶するものがあったであろう。
对正在溃逃的朝倉军来说,当他们面对长可时,绝望的心情无法想象。
背後から猛追しているはずの織田軍が、前方からも現れた。行くも地獄、戻るも地獄ならばと前方突破を図った兵たちは悉(ことごと)く息絶えた。
他们试图冲破前方以脱离猛追的織田军,但后方也出现了敌人,前进是地狱,后退也是地狱。所有的士兵都死了。
冷静に彼我の戦力差を比較出来ていれば、自軍の方が優勢であると理解できたであろうが、恐慌状態に陥った兵士たちは武具を投げ捨てて逃げ出した。
如果冷静地比较双方实力差异,他们会理解自己的军队更强大,但陷入恐慌的士兵们投掷武器逃跑了。
後方へと逃げようとする先頭集団と、追い立てられて必死になっている後方集団が激突し、彼らの混乱は頂点に達した。
前方逃走的一队人和后方拼命追赶的一队人相撞,他们的混乱达到了顶点。
同士討ちすら始めた朝倉軍を相手に、慶次や長可達は鎧袖一触勝利をもぎ取った。
面对朝倉军甚至开始内部混战,慶次和长可取得了胜利。
「これから朝倉軍本隊を叩くけど、来る?」
"接下来我们将攻击朝倉军的主力,你来吗?"
本来ならば静子も光秀と共に移動しなければならないが、長可達に次の指示を与える必要があった。とは言え、彼らには各自の裁量で動くことが許されていた。
静子本来也应该和光秀一起移动,但她需要给长可等人下一步的指示。但是,他们被允许根据自己的裁量行动。
「行く、と言いたいところだが、流石に疲れた。俺は良くとも兵たちが疲労困憊だ。俺と慶次たちは兵を伴って、一度本陣に戻る。お前は朝倉をしっかりと滅ぼしてこいよ」
"虽然我想去,但我实在太累了。不管怎样,我们和慶次会带着士兵一起回到营地。你要好好干掉朝倉哦。"
「判った。襲撃してくる朝倉兵はいないと思うけど、一応気を付けてね」
"好的。虽然我认为朝倉军不会再出现,但还是要小心点啊。"
「おう。大休止をとったあと、全員で移動する。なーに、朝倉兵を見かけたら叩き殺しておくよ」
"好了,大休息后,我们一起移动。如果看到朝倉的士兵,咱们就消灭他们。"
「ほどほどにね」
「适可而止吧」
そう言うと静子は馬首を巡らせて去っていった。
静子这样说着,转过马头离开了。
彼女が去ってから暫く間を置いて、ようやく慶次たちや長可の兵士も追いついてくる。彼らも長可程ではないにせよ、全身を返り血で真っ赤に染めていた。
等她走后,经过一段时间,慶次和长可的士兵们终于赶上了。他们虽然没有长可那样的大规模,但全身都被鲜血染得通红。
「おっと、少し遅かったか。ま、ここらで休憩したら陣に戻って寝るとするか」
「哦,可能有点晚了。好吧,在这里休息一下,回阵地去睡觉吧。」
「流石に疲れたな。どうせ逃げるなら越前まで一気に逃げると思ったんだがな」
「真累啊。如果要逃跑,我想一口气逃到越前。」
「当てが外れたな。雑兵ばかりで本隊は逆へ向かったんだろう」
「估计是猜错了,只有杂兵,主队可能朝相反的方向走了吧。」
「次があれば今度は外さないさ」
「下次一定不会失算。」
そんな事を口々に言い合いながら、彼らは自陣へと戻っていった。
他们这样说着,回到了自己的阵地。
しかし、彼らは気づいていなかった。旗印すら真っ赤に染まり、敵味方が判別できない血塗れの軍団が迫ってきた場合、陣を守る兵士たちがどのような行動をとるかを。
然而,他们没注意到,如果有一个旗帜被染成鲜血红色,使得无法区分敌我的团队逼近他们的阵地,守卫阵地的士兵会怎么做。
攻撃する素振りも無くゆっくり近づく血塗れの集団を訝しみ、威嚇射撃をされて初めて旗印の惨状に気が付き、予備の物と差し替えることであわや同士討ちという状況は回避された。
对于缓慢接近的被血液弄脏的队伍,没有攻击的意图,被视为威胁,他们进行了威慑性的射击。只有当他们注意到旗帜的惨状时,才避免了同归于尽的情况。
一方、光秀と静子は朝倉軍を追って夜闇を疾駆していた。
另一方面,光秀和静子正在追赶朝倉军,疾驰在夜色中。
背後から刻一刻と迫る軍勢に退却を諦めた山崎長門守(やまざきながとのかみ)など、数少ない武将たちは幾度か反転し、織田軍へ果敢に挑みかかった。
山崎长门守等少数武将,在敌军一步步接近的情况下,放弃了撤退,勇敢地向织田军发起了进攻。
この決死の反撃には、さすがの明智軍も脚を止めて応戦し、本隊への追撃の手を遅らせざるを得なかった。
这场决死的反击令明智军队也不得不停下脚步进行应战,追击敌人的主力部队的计划被迫延迟。
しかし、追われ続けて消耗しきった殿軍では勢いに乗っている明智軍に敵うはずもなく、ついには山崎も討ち取られた。
然而,在被追逐并彻底耗尽体力的殿军士兵们面前,无法抵挡明智军的攻势,最终山崎也被击败。
殿軍が文字通り命を賭して稼いだ時間も虚しく、朝倉軍が刀根坂の中ほどに差し掛かった頃、静子達はついにその尻尾に噛み付いた。
殿军费尽全力换来的时间最终毫无意义,当朝倉军走到刀根坂的半路时,静子等人终于追上他们的尾巴。
彼らを打ち破れば残るは義景と僅かな兵のみとなる。
如果他们击败了他们,只剩下義景和少量的兵士。
しかし、腐っても最後まで義景に付き従った家臣達は腰が据わっていた。最早撤退が叶わぬと知るや反転し、静子達を逆に食い破らんと襲い掛かった。
然而,那些一直跟随着义景的家臣们却稳如泰山。他们知道已经没有退路,于是反转军阵,向静子等人展开攻击,试图吞噬他们。
決戦の舞台は切り立った崖に左右を挟まれた隘路。満足に軍を横展開できないが、それ故に寡兵の不利を覆せる好立地でもあった。
决战的舞台是被陡峭悬崖所环抱的狭隘之路。这里虽然无法展开完整的军阵,但这也是一处能够利用地形优势掩盖兵力不足的好地方。
「弐式カ弾(貫通弾)を装填。合図とともに斉射せよ」
"准备穿甲弹。听令,齐射!"
静子は信玄から受け継いだ軍配を天高く掲げた。進路が制限される一本道という事は、新式銃の特殊弾種の貫通弾及び散弾が最も効果を発揮する地形だ。
静子高举着从信玄那里传承下来的军棋。这是一条道,前进路线受到限制,因此新式枪的特殊弹药,穿甲弹和散弹,将在此地形中发挥最大的效果。
「斉射!」
"齐射!"
軍配が振り下ろされると同時に雷鳴にも似た銃声がこだました。弐式カ弾は人体相手にもその貫通力を遺憾なく発揮し、予想以上の戦果を叩きだした。
军棋一挥,骤然间惊雷声般的枪声响起。穿甲弹充分发挥了其对人体的穿透力,取得了超乎预期的战果。
銃弾が貫通した事により即死は免れたものの、最前列に負傷兵の山が出来上がり、その後ろに死体の山が築かれた。
虽然并非立即致死,但前排已经形成了伤兵的山,死亡人数也逐渐增加。
死体の山は心を鬼にして踏み越えられても、負傷者を踏み殺すことは容易ではない。必然的に突撃は勢いを失い、朝倉兵は最後の機会を逸してしまった。
山一般的尸体虽然能够充满无情,但踏死受伤者却并不容易。突击的冲势不可避免地减弱,朝倉军错过了最后的机会。
一瞬だけ躊躇したが、静子は頭(かぶり)を振って迷いを断ち、更なる掃射を命じた。再びの轟音とともに、団子状につかえていた集団がバタバタと倒れ伏した。
瞬间的犹豫后,静子摇了摇头,确定下了进一步扫射的命令。再次的轰鸣中,密密麻麻的敌军被打倒在地。
完全に勢いを失った朝倉軍へ、光秀率いる主力部隊が躍りかかった。
光秀率领着主力部队向完全失去战斗力的朝倉军发起猛攻。
流石は光秀の主力部隊だと静子は思った。激流を遡行する魚のように、敵兵を踏みしめ、切り裂きながら戦線を押し上げた。
静子深感这正是光秀的主力部队。他们扫荡战线,像一条游回逆流的鱼,踩死敌兵,斩杀他们。
士気に加えて、兵装も練度でも上を行く明智軍は、当たるを幸いに敵陣を切り刻んだ。朝倉軍は真正面から食い破られ、武将たちも櫛の歯が欠けるように討ち取られていった。
明智军的士气和装备皆超过朝倉军,只要有机会便用刀横扫敌阵。朝倉军的阵线被直接攻破,武将们也像梳齿的齿缺般一个接一个被斩杀。
刀根坂の戦いにおいて、朝倉軍は朝倉道景や北庄城主の朝倉景行などの一族衆、山崎吉家や河合吉統ら有力武将もを失い、朝倉軍の中核を成す部隊は壊滅の憂き目にあった。
在刀根坂之战中,朝倉军失去了朝倉道景、北庄城主朝倉景行等家族成员,以及山崎吉家、河合吉统等有力武将,核心部队被摧毁。
後の首実検において判明するのだが、かつて信長に攻め落とされた稲葉山城元城主・斎藤龍興もこの戦いで命を落としていた。
在之后的首実检中,发现曾被信长攻克的稻叶山城主斋藤龙兴也在这场战斗中丧生。
この戦いで義景を見た者はおらず、明智軍と静子軍は事前の取り決め通り、僅かな兵を残して主力部隊は義景を追った。
没有见过义景的人参加了这场战斗,智冠军和静子军按事先约定留下少量兵力,主力部队追逐义景。
目指すは義景のみという意見が一致していた光秀と静子は、最低限の休息すら惜しんで追撃を行った。
光秀和静子都认为他们的目标只是义景,他们追击而不惜最低限度的休息。
この神速ともいうべき行軍が功を奏し、疋壇城に逃げ込んだ義景は一乗谷を目指すこと叶わず包囲された。
这次神速的行军产生了效果,躲到疋坛城的义景未能实现他的目标,他被包围了。
直接戦闘をしていない静子軍の後方支援部隊は、到着すると同時に一乗谷へ通じる道と、琵琶湖側へと抜ける道の両方を完全に封鎖した。包囲の完成を待って、光秀が調略を開始した。
静子军的后方支援部队并没有直接参加战斗,一到达便全面封锁了通往一乘谷和琵琶湖一侧的道路。等待包围完成后,光秀开始策划。
彼が敵に伝えた内容は『義景が降伏するならば、家臣たちについても無下にはしない。しかし、この一度きりの勧告を蹴って抗戦を選ぶ場合、女子供を問わず皆殺しにする』であった。
他向敌人传达的内容是:“如果义景投降,家臣们也不会被不公平对待。但如果拒绝这一次的建议而选择对抗,不论男女老幼都会被屠杀。”
城攻めには時間と多くの兵力を要する。増援の来ない絶望的な籠城をしている朝倉軍には、力攻めよりも恫喝を含めた調略の方が効果的であると光秀は考えた。
城门攻打需要时间和大量兵力。光秀认为对于朝倉军这种绝望的守城,威慑(包括恐吓)比强行进攻更有效。
そして、その効果は覿面だった。城から見える範囲を静子軍に任せ、明智軍が背後で多くの軍旗を掲げて実数よりも多く見せかけた結果、朝倉軍の戦意は折れた。
事实证明,这种威慑效果极佳。静子军负责城门范围内,而明智军在后方竖起了许多军旗,看起来比实际兵力多,结果朝倉军的战意被击破。
時を置かずして朝倉義景、義景の側近である鳥居(とりい) 景近(かげちか)、高橋(たかはし) 景業(かげあきら)、疋壇城城主・疋壇六郎三郎らが城門から出てきた。
不久之后,朝倉义景、义景的亲信鸟居景近、高桥景业、疋坛城城主疋坛六郎三郎从城门出来。
当の義景は城の中で切腹をするつもりであったのか、甲冑を身に着けていなかった。目論見通り義景を生かしたまま確保できたことに、静子はホッと胸をなでおろしていた。
当的义景原本打算在城内切腹,因此没有穿上盔甲。静子如愿以偿地保住了义景的性命,松了一口气。
「朝倉家当主、朝倉左衛門督(さえもんのかみ)殿とお見受けする。相違ないか?」
"现在介绍朝倉家的当主,朝倉左卫门督大人。没错吧?"
憔悴しきり人相すら変わっていたため、光秀が念のため確認を取った。義景は諦観を浮かべつつも、しっかりと光秀を見返して頷いた。それを受けて光秀は静子に目配せをした。
由于義景疲惫不堪,面容发生了变化,光秀特地进行了确认。義景虽然已经放弃,但仍然向光秀点了点头。看到这一幕,光秀向静子做了个眼色。
静子は無言で大きく軍配を振り、それに合わせて城を包囲していた静子軍は、包囲を解いて静子の背後に整列した。道を封鎖していた者たちも、封鎖を解除して戻って来ていた。
静子默默地摇了摇大的军事仪式,包围城池的静子军解除了包围,腾出地方整理队形。封锁道路的人趁机解除了封锁,回到了原来的地方。
「お約束通り、包囲は解除しました」
"如约,我们解除了包围。"
光秀の宣言と共に、追い付いて来ていた静子本軍は朝倉兵の武装解除と撤収準備を開始した。
光秀宣布后,静子本军赶来帮忙,朝倉军开始解除武装,准备撤离。
後は一乗谷城を残すのみだが、当主である義景が降伏した以上、もはや彼らに抵抗できる力は無かった。
目前只剩下一乗谷城了,但由于城主义景已经投降,他们没有足够的力量抵御。
光秀は織田軍に疋壇城での武装解除と開放を任せ、一乗谷城へと向かう軍を再編成する。
光秀把織田军放在比弗蒂城,解除武装并释放囚犯,重新组织部队前往一乘谷城。
広大な城下町を抱える一乗谷城へ大勢で乗り込み、雑兵たちが暴走しては堪らないため、確実に統制が取れる人員を選ぶ必要があった。
一乘谷城拥有宽广的城市,需要选出能够确保整个城市被控制的人员进行入城。
「高徳院さえ捕縛出来れば、もはや越前は陥落したも同然」
"只要捕捉到高德院,越前就陷落了。"
高徳院とは義景の母親の名である。他にも小少将や義景の次男・愛王丸など義景の血族を捕縛すれば、朝倉家は滅んだも同然となる。
高德院是义景的母亲的名字。捕获其他人物,如小将们和义景的次子爱王玛尔等義景的血亲,朝倉家也将奄奄一息。
だが静子はそれらの人物より義景の娘四葩(よひら)を最重要人物と考えていた。史実では彼女は一乗谷から逃亡すると、そのまま石山本願寺へ逃げ込んだ。
但是,静子认为義景的女儿四叶是最重要的人物,甚至比这些人都重要。据史实,四叶逃离了一乘谷并逃到了石山本愿寺。
そして兼ねてからの約定通り、本願寺顕如の長男・教如と結婚したと言われている。
据说她最终按照之前的约定与本愿寺的顕如长子・教如结婚了。
その後、顕如や教如に対して、四葩がいかなる話や願いをしたか不明だが、一年後に越前で一向一揆が勃発する。この時、信長に寝返った朝倉家の殆どが討ち死にしている。
之后,不清楚四葩跟顕如或教如说了什么话或许愿,但一年后在越前爆发了一向一揆。这时,投靠信长的朝倉家大部分都被杀死了。
「明智様、宜しいでしょうか」
"明智先生,您觉得怎么样?"
一乗谷へ向かう準備をしている光秀に、静子は声をかけた。光秀は連戦による疲労を見せず、静子へと向き直った。
静子对准备前往一乘谷的光秀说道。光秀没有表现出因连续战斗而疲惫,而是转向静子。
「実は、ご相談したいことがございます」
"实际上,有一件事我想请教您。"
静子はここに来るまで考えていた事を光秀に打ち明けた。最初は驚いていた光秀だが、静子の話を聞き終えると顎に手を当てて考える。
静子告诉了光秀自己在来这里之前考虑的事情。一开始光秀很惊讶,但听完静子的话之后,用手托着下颌思考。
「……確かにそちらの方が宜しいでしょう。上様も茶器を手に入れる為、と言えば焼き討ちをせずともお咎めにはなりますまい」
"……确实那边比较好。如果我们能为了得到茶具而避免焚毁岂不是最好。"
静子の話とは、史実において実施された、一乗谷焼き討ちを遅らせることだった。
静子的话是关于实际上实施过的推迟一乘谷焚毁的计划。
一乗谷には多くの文化財や歴史的に貴重な資料が残っている。現在でも焼け跡から茶器が出土しているため、当時から多くの茶器が存在していたと推測される。
一乘谷保有许多文化财和历史资料。现在,从焚烧遗迹中仍有茶具出土,因此可以推测那时也存在许多茶具。
本音を言うならば文物の保護を抜きにしても、一乗谷の焼き討ちを回避したかった。一乗谷は越前文化の集結地であるため、これを焼き払えば越前の民に大きな禍根を残すことになる。
说出实话,即使抛开文物保护,也希望避免一乘谷的焚毁。因为一乘谷是越前文化的聚集地,如果将其烧毁将给越前的民众留下巨大的祸根。
しかし、一乗谷は朝倉家の象徴でもあるため、その崩壊を世に広く知らしめるためにも、一乗谷の焼き討ちは不可避の出来事であった。
然而,一乘谷也是朝倉家的象征,因此,要让世人知道其崩溃是不可避免的焚毁一乘谷是可行的。
この引き伸ばしに信長が難色を示すことは判っていたが、茶の湯の価値を高めたい信長としては茶器の保護を謳えば、暫くならば我慢もしてくれるだろうと言う目算があった。
明白信长会对这个延迟计划表示困难。但是,信长希望提高茶道的价值,如果宣传文物保护,信长暂时可能也会忍耐。
最終的には史実通り城下町を含めて灰燼に帰すのだろうが、それでも静子は最低限の文化財を保護し終えてからにしたかった。
最终,城下町也将化为灰烬,但静子仍然希望先保护最起码的文化财。
「そちらについては既に上様宛の文を用意しております。恐らく文だけで問題ないとは思いますが、万が一の事もありますので」
"关于那方面,我已经为主上准备好了信函。虽然可能只凭借信函就能解决问题,但也有可能会出现万一情况。"
「では、上様への対応はお願いします。こちらは兵が略奪しないよう監視の目を強めます。名物の保護は、私としても重要だと考えます」
那么,关于上阁下的事情请您处理。我们会加强监视以确保士兵不会掠夺名物。我觉得名物的保护也非常重要。
現時点では一乗谷に火を掛けない。文化財を最初に運び出し、信長には茶器を捜索していると説明する。
目前不点火一乘谷。我们首先要把文物搬走,并向信长解释我们正在搜寻茶具。
実際に並行して茶器の回収も行い、見つかった茶器を信長に送れば、信長も静子達の願いを無下にはしないと考えた。
实际上同时也在寻找茶具并准备把找到的茶具送给信长,因为他不应该无视静子等人的要求。
「ではそれでお願いします」
"那么就这样吧。"
静子と光秀は価値観を共有できた手ごたえを感じていた。
光秀与静子感到他们能够共享价值观。
光秀と静子が義景を捕らえる少し前、信長は小谷城付近に敷かれた本陣へと戻っていた。
光秀和静子在围捕义景不久之前,信长已经返回到小谷城附近的本阵。
彼は既に朝倉が滅んだものと言わんばかりに、越前への抑えとして配していた柴田達も小谷城包囲へ参加するよう命じた。
他命令柴田等人参加包围小谷城,似乎已经将朝倉家视为已被灭亡的家族了。
織田軍が総力を挙げて小谷城包囲を行っている頃、静子から文を得た秀吉は自陣に戻ると秀長を呼びつけた。
当織田军全力围攻小谷城时,秀吉从静子那里得到了信件,回到营地后召集了秀长。
「はいはい、何のご用でしょうか兄上」
"哦,您有什么事吗?兄长。"
いつも通りの飄々とした態度で応じる秀長に秀吉は噛みつかんばかりに詰め寄った。彼は秀吉が何を問いたいのか判っていたが、それをおくびにも出さず素知らぬ振りを通していた。
秀长像往常一样漫不经心地回答,秀吉仿佛咬牙切齿地追问着。虽然他明白秀吉想问什么,但仍装作不知道。
「お前、静子に何を差し出した!?」
"你给静子交了什么东西!?"
秀吉は静子から渡された文を、作戦地図を広げる台に叩きつけるようにして叫ぶ。秀吉が激昂するのも仕方ない、静子の文には小谷城に関する機密情報が記されていた。
秀吉把静子交给他的信件砸在地图展示的桌子上大喊大叫。静子的信里包含了小谷城的机密情报。
付近一帯の詳細な地形図に加えて、小谷城の防衛設備の規模と詳細が網羅されており、軍事機密を知る内通者から得た情報であることが窺い知れた。
除了详细的周边地形图外,还详细记录了小谷城的防御设施规模和详细信息,可以看出这是从通敌者那里得到的军事机密信息。
しかし秀吉が問題としているのはそこではない。これほどの情報を得るために、秀長が静子に何を差し出したのか、それが秀吉の関心事だった。
但是问题并不在于这里。秀吉想知道的是秀长交给静子什么,以获取这么多情报。
「えーっと、少し前に朝倉家の……何でしたっけ」
"嗯,前不久朝倉家的……他是越前大野郡的郡司孙八郎。"
「越前大野郡の郡司を勤めておる朝倉孫八郎だ」
「そうそう、その朝倉孫なにがしを筆頭に何名かが義景を裏切って、織田軍に都合の良いよう兵を動かすから代わりに助命を願いたい、という事を連名で記された文が届いたでしょう? あれと交換いたしました」
「对了,你们一定收到了那个由朝仓某子为首的几个人写成的请愿书吧?他们背叛了义景,调动军队为织田军方便,希望得到救命的代价。我已经与他们交换了那个东西。」
「アレか……え、アレだけか?」
「那个吗……呃,就只有那个吗?」
秀長が静子に差し出した物を知った秀吉は、余りにも取るに足りない物だったことに拍子抜けしてしまう。
秀长递给静子的东西,让秀吉感到十分失望,因为那是无足轻重的东西。
裏切りの証拠とは言え、助命の嘆願書の使い途など秀吉には思いつかず、彼の中ではゴミと位置付けられていた。
尽管是背叛的证据,但秀吉并没有想到嘆願书的用途,将其归为垃圾。
「おそらく義景や越前の民が抱く恨みを誘導するために用いるのでしょう。自分達を負かした相手よりも、裏切った味方の方が憎悪を向ける相手としては適していますから」
「大概是为了引导义景和越前的人们的仇恨吧。毕竟背叛了自己的同伴比败给对手更容易引起愤怒。」
「なるほどな。しかし、嘆願書を受け取った上で、それを反故にするというのも極まりが悪いのう」
「嗯,确实。但是接受了嘆願书,然后抛弃它,那也太过分了吧。」
「何を仰います、兄上? 助命の嘆願書とやらは何処にありますか? ここに無い以上は、我々の手元には届かなかった。それで良いではありませんか。朝倉討伐における最大武功は明智殿で確定です。ならば朝倉の一族衆を助けたところで、我々に利などありますまい。連中がどうなろうと我々は関知しないのが上策でしょう」
「您所说什么,大哥?救命的嘆願书在哪里?既然没有,那我们也无法接收。明智殿已经具有讨伐朝仓的最大功绩了。所以即使救助朝仓一族,我们也不会有任何好处。最好不要关心他们会怎样。」
「まあ、そうだな」
「嗯,也对。」
秀長の言に一理を認めた秀吉は、これ以上嘆願書について考える事を放棄した。彼は静子から受け取った文を整理し、軍議用に広げた地図と並べて見比べる。
秀吉认可了秀长的话,放弃了对嘆願书的进一步考虑。他整理了静子给他的信件,与展开的地图一起比较。
「ならば我々は小谷城を落とす事に全力を尽くそう。この情報があれば当てずっぽうではない博打が打てる。今こそ攻め時よ」
「那么,我们就全力攻占小谷城吧。有这个情报,我们不会再盲目出击。现在正是最佳攻击时机。」
「その通りです、兄上」
「说得对,大哥。」
秀吉の力強い宣言に秀長は笑みを浮かべて頷いた。
秀长对秀吉的坚定宣言微笑着点头。
(まさか小谷城に関する機密を流してくるとは、いやはや驚かされる。しかし、どのようにしてここまで詳細な情報を仕入れたのでしょう。彼女の配下にある間者の動きは把握しているつもりでしたが……ふふっ、まあ良いでしょう。此度は嘆願書程度で兄上に武功を上げる機会が舞い込んできたのです。余計な詮索をして藪を突いた結果、蛇(足満)が出てきては敵いません)
(竟然流出了有关小谷城的机密,真是让人惊讶。但是,她是如何获得如此详细的信息的呢?我本来打算了解她麾下间谍的行踪的...... 呵呵,好吧。这次我有机会通过请愿书来为我哥哥增加功劳。由于多管闲事而惹祸上身,不敌敌人的意料之外的攻击)
台に広げられた文面を追いながら秀長は笑う。今までは一定の距離を保っていたが、今後は積極的に関わる必要があるだろう。なにしろ他の武将たちも静子への依存度を高めている。
秀长笑着看着展开在台上的文本。他以前与静子保持一定的距离,但今后必须积极参与。毕竟其他武将们也越来越依赖静子。
(一人の女子に大の男どもが夢中になる。事情を知らぬ人間からすれば、色恋沙汰に狂った愚か者にも見えるでしょう。しかし、ここにしか活路は無い。この世の常識に縛られぬ静子殿を取り込めるか否か、それが今後の行方を左右するのです)
(一群成年男子痴迷于一个女孩。对于不知情的人来说,这似乎是一个被恋爱冲昏了头脑的愚蠢者的故事。但这是唯一的机会。招募静子,这将决定未来的方向。)
これからの事を考えた秀長は、ますます笑みを深めた。
考虑到未来的事情,秀长的微笑变得更加深刻。
静子は光秀と共に一乗谷へと入った。一乗谷城を守る将兵や、一乗谷の城下町で暮らす民たちは、織田軍が攻めてくると聞いて慌てて逃げ出していた。
静子和光秀一起来到一乘谷。听说織田军要进攻一乘谷城的士兵和一乘谷市民急忙逃跑了。
平時ならば賑わっていたであろう城下町の往来も絶え、民が逃げ出す際に落とした布切れなどが風に吹かれて舞い上がり、もの悲しさを強調していた。
平时,一乘谷的城市交通路线肯定是繁忙的,但现在已经不存在了。在人们逃跑时掉下来的布片等在风中飞舞,强调着它的凄凉。
百年の栄華を誇った一乗谷も、こうなってしまえば廃墟にしか見えない。
曾经荣耀了一百年的一乘谷如今看起来只是一座废墟。
「伏兵がいるやも知れませぬ。鳥居殿、無用な殺生を避けるためにも、投降を呼びかけて貰えませぬか?」
「敌军也许会有伏兵。 鸟居,请呼吁投降,以免杀戮无意义。」
「承知した」
「明白了。」
義景の側近である鳥居が呼びかけるならば、兵も降伏しやすいと光秀は考えた。追い詰められて自暴自棄になった敵兵が、死なば諸共と街に火を放つのを回避したかった。
由光秀认为,如果鸟居——义景的重要随从——呼吁投降,那么军队也更容易投降。他们无法承受自己陷入绝境后失控并纵火的后果。
「静子殿は文化財の保護をお願いいたす」
「请静子保护文化财。」
「承知いたしました」
「我明白了。」
光秀が役割を割り振り、それぞれが課せられた役割を全うする。
光秀分配了角色,每个人都充分履行了自己的职责。
静子は文化財の保護・回収を精力的に行った。静子軍の兵士は末端まで統制が取れており、万が一にも略奪に走る恐れがないため適任であった。
静子积极致力于文化遗产的保护和回收。静子军士兵都有着良好的纪律性,因此适合担任保护工作,不会有任何抢劫的风险。
実際に静子軍の手際は抜きんでており、文化財の保護や、隠れていた将兵の妻子たちの保護なども手際よく行っていた。
静子军确实很有经验,能够熟练地保护文化遗产,以及保护藏匿的将士家属。
続々と集められてくる文化財を見ると、それなりに知識を持つ静子ですら見た事も聞いた事もないような品が多くあった。
看到文化宝藏陆续被收集起来,静子发现许多陌生的物品,即使是她这样有相当知识的人也没有见过或听说过。
「唐物の茶碗とかもあるんだね」
“原来还有唐代的茶碗啊。”
庭園や建築物など物理的に動かせないもの、もしくは持ち出せないのならいっそと破壊されてしまった物以外が集められてくる。
园林、建筑等无法搬运的物品或无法带出去的东西都没有被收集,只有被破坏的物品除外。
中には来歴が判る資料が添えられているものもあったが、大半はどの時代にどのような経緯で持ち込まれたのか不明な物ばかりであった。
一些文物有来源记录,但大多数物品的历史和来源都不清楚。
目当てとした茶器の他にも花瓶や壺、絵画、掛け軸、手紙、書物など回収された品は多岐にわたった。
除了茶具,回收的物品还包括花瓶、罐、绘画、挂轴、信件、书籍等各种物品。
「中々の品揃えだね」
“真是品种繁多啊。”
「静子様! そちらは記帳が済んでおりません。お手に取られるなら、こちらの記帳済みの物でお願い致します」
“静子殿下!这里还没有记录。如果您方便的话,请把这边已经记录过的交给我们。”
静子は小山のように積まれた書物から一冊を手に取って開いていた。
静子正从堆积如山的书籍中拿出一本并翻阅。
しかし、文化財の目録を作っている兵から叱られる。ばつの悪い顔を浮かべると、静子は書物を元の位置に戻して退散した。
然而,她被正在制作文物目录的士兵呵斥了。她尴尬地笑了笑,将书放回原位,然后离开了。
「怒られちゃった。記録が終わったものから読もうか」
“我被教训了。那就从记录做完的开始看吧。”
流石に数が膨大であるため、目録を作り終えた物から一時保管所として徴発した武家屋敷に分別して運びこまれていた。
由于数量庞大,已经制作完目录的物品被分类运到了临时仓库,一个被征用的武家屋敷。
そこに置かれた書物なら、後は梱包して信長の許へと送るだけであり、梱包されるまでは読んでいても問題なかった。
在那里,只需要将书包装好,然后送到信长那里。在包装之前,阅读也不会有问题。
「静子様、少し宜しいでしょうか?」
“静子殿下,您有时间吗?”
そう思って腰を上げた時、静子に呼びかける小姓が居た。
当她准备起身时,一名小姓叫住了她。
出鼻を挫かれた気分になったが、信長が必要としない文化財は褒美として譲って貰う予定であることを思い出し、後でも良いと考えて静子は腰を下ろす。
虽然有些失落,但她记得信长不需要的文化宝藏将作为奖励让她享受,所以她觉得稍后看也没有关系,于是她坐回去了。
「何用ですか?」
"你需要什么?"
「はっ。実は朝倉義景の母、高徳院が静子様にお目通りを願っておりまして……如何致しましょうか?」
"啊,实际上朝仓义景的母亲,高德院向静子殿下表示想要拜见……该怎么做呢?"
「明智様がお話をされた、と聞いておりますが、私に何の御用でしょうね? まあ、押し問答しても仕方ないですし、お会いしますので、こちらへお通しするよう伝えて下さい」
"我听说是明智先生跟我谈话了,您需要我做什么吗?嗯,虽然继续问答也没什么用,但我还是愿意见一见面。请告诉他们让她们进来吧。"
「ははっ、直ちに」
"呵呵,当然。"
返事をした小姓は、高徳院を呼ぶために踵を返した。暫くして気の強そうな貴婦人と、その後ろに泣きはらした女性が続き、女性の陰に隠れるようにして最も年若い女性が通された。
回答后,侍从转身前去呼唤高德院。过了一会儿,一位气质强大的贵妇人和她身后抽泣不止的女性进来了,而最年轻的女性则躲在后面。
静子は事前に得ていた情報から、気の強そうな貴婦人を高徳院、その後ろが義景の妻・小少将。最も後ろの女性が四葩その人であろうと静子は察した。
静子根据事先得到的情报猜测,气质强大的贵妇人是高德院,后面的是义景的妻子小少将。躲在最后的那个女性则可能是四片。
静子は掛けていた床几から立ち上がると、彼女らの代表である高徳院に名乗り、席を勧めた。
静子从床几上站了起来,向代表她们的高德院介绍自己,并让她们坐下。
「私が静子と申します。どうぞ、お掛けになって下さい。行軍中ゆえ、流石に良い調度とは申しませんが、地べたに座るよりは良いでしょう」
"我名叫静子。请坐。因为正在行军中,没好的摆设,只能这样子坐着了。不过这也胜过在地上坐着吧。"
「……お気遣い頂き感謝します」
"……感谢您的关照。"
高徳院が礼を述べて腰掛けると、呆気に取られていた小少将と四葩も我に返り、慌てて用意された椅子に腰かけた。
高德院表示感谢并坐下后,之前惊讶的小少将和四片也恢复了镇定,匆忙坐在准备好的椅子上。
「御用の前にまずは一杯進ぜましょう。毒など入れは致しませぬ。貴女達を毒殺する必要性がありませんから」
"在说工作之前,先来一杯茶怎么样?我不会下毒。毒杀你们是没有必要的。"
そう言うと静子は手ずから茶を淹れて、先に口に含んで見せた。そのまま同じ急須から茶を注ぎ、三人へと渡していく。
静子亲自泡茶,先喝了一口,然后从同一个急水壶中为三个人提供了茶水。
静子が毒見をしてみせたが、高徳院は生殺与奪を握られている今、毒殺を疑う必要もないと考え躊躇なく茶を口にした。
静子示范了一下品尝茶水,高德院认为在她目前被控制的时候没有必要怀疑毒药,于是毫不犹豫地喝下了茶水。
小少将と四葩は高徳院の様子を窺いつつ、恐る恐る茶を口にしていた。
小少将和四葩则小心翼翼地喝着茶,紧盯着高德院的神情。
「さて、私にご用と窺ったのですが、どういったご用向きでしょうか? 我が軍の最高責任者は明智様です。私がどのような判断をしようと、明智様が否と仰れば、それで決定は覆りません」
"那么,你们找我有什么事呢?我们军队的最高负责人是明智先生。即使我作出了任何决定,如果明智先生说不行,那就不能更改。"
「率直に訊ねますが、我らはどうなりましょう?」
"坦白地问,我们会怎样?"
「越前は上様の支配下となり、朝倉家は断絶となるでしょう。上様は朝倉家に何度も煮え湯を飲まされておいでです。今更、命乞いをしたとて赦しは頂けないでしょう」
"越前将受上方支配,朝倉家将被取缔。上方多次被朝倉家打败,现在即使求饶也不会得到宽恕。"
義景が信長と敵対を表明してから三年。信長は何度も苦汁を舐めることとなり、朝倉が近江にいるだけで抑え役の将兵に軍を割かれた。
自义景公开与信长敌对以来已三年。信长多次尝到苦果,仅朝倉在近江境内就阻止了一部分部队的出兵。
特に信玄が手掛けた甲斐武田の大遠征こと西上作戦では、織田家の命運を賭けるまでに至った。
特别是信玄发起的甲斐武田大远征(西上作战),赌上了织田家的命运。
ここまでの事をしている以上、信長が朝倉家に温情をかける可能性は限りなく低い。どれほどの財宝を差し出そうとも義景及び、その嫡子の斬首は免れない。
在到达这一步后,即使朝倉家献上了多少宝藏,义景及其嫡子也无法幸免于斩首。
「敗者の一族断絶は乱世の常。ことここに至っては、今更抗おうとは致しませぬ。私がお聞きしたいのは四葩の扱いについてございます」
"战败家族被取缔在乱世是常事,现在再抗争也没用了。我想询问的是对四葩的处理。"
「扱いと仰いましても……」
"处理?"
「おとぼけ召されるな。私は四葩を確実に捕らえよと、貴女が命じたのを存じております。愚息ではなく、四葩を捕らえるよう命じた理由をお教えいただきたい。これから死にゆく者への手向けに、どうか情けを掛けては頂けまいか」
"别逗了。我知道你命令捕获四葩,不是让我的儿子,而是让捕获四葩。请告诉我是为了什么原因。为死去的人做些事,不妨表示一下怜悯吗?"
ようやく合点がいった静子だが、どのように説明したものかと考えあぐねる。
静子终于明白了,但不知该如何解释。
静子は確かに四葩を必ず捕らえるよう命じていた。それは史実を知るが故に、彼女が生きて本願寺へ辿り着くと、後に越前で一向一揆が生じると考えたからだ。
静子确实命令必须捕获四葩。因为她知道历史,知道当她走到本愿寺时,越前会发生一揆。
支配地域での一向一揆が発生すれば鎮圧するのに少なからず犠牲が生じる。
如果在治下的地区发生宗教斗争,将付出不小代价。
これ以上、越前で揉め事を起こしたくないため、静子は問題の芽を摘む意味で彼女の捕縛を命じた。最悪の場合は、死体でも良いと言い添えて。
为了避免在越前出现更多的纷争,静子命令捕获四葩以消除隐患。在最坏的情况下,甚至可以直接将她杀掉。
その命をどのようにかして知った高徳院が、静子に本心を訊ねに来たのだ。それを考えれば四葩が静子を見つめる怯えた目線にも納得がいった。
高徳院得知了这一命令后,来问静子的真正想法。在这种情况下,四葩望着静子的眼神也就容易理解了。
「それは四葩殿が本願寺顕如の嫡子と婚姻の約定を結んでいるからです。本願寺へ逃げ込まれ、顕如の庇護を受けて一向一揆を扇動されては困るのです。無論、一向一揆を起こされれば、加担した一向宗は根絶やしに致します」
“这是因为四叶殿与本愿寺的顕如嫡子缔结了婚姻约定。如果他们在本愿寺寻求避难并获得顕如的保护,那就会引发一向一揆,这是我们不愿看到的。当然,一旦发生一向一揆,我们也会将涉案的一向宗彻底消灭。”
「仮に一向一揆が起きたとして、その時越前はどうなりましょう?」
“如果真的发生了一向一揆,越前会怎么样?”
「私見ですが、と前置き致します。まず朝倉家を裏切り、織田家へと寝返った者たちが混乱に乗じて討ち取られるのでしょう。その後、織田軍が鎮圧の為に出陣し、一向宗を根こそぎ葬り去ります。長島では理由があって石山本願寺へと帰しましたが、ここ越前での一向一揆にはそうした理由がないため、最後の一人に至るまで徹底的に潰すでしょう。何万にも及ぶ死者が出ます。無論、一向宗となった越前の民が、です」
“这只是我的个人看法。首先,那些背叛朝仓家转而归降织田家的人会在混乱中被杀死。然后,織田军会出征镇压一向宗,将他们全部消灭。虽然在长岛有一些理由可以将一向宗送回石山本愿寺,但在越前发生的一向一揆没有那样的理由,因此会残忍地痛斥一直到最后一个人。成千上万的人会死去,其中许多是成为一向宗的越前民。”
噛んで含めるように高徳院に言い聞かせる。実際には長島の時と同様に、一向宗を石山本願寺へと送り付ける事になろうが、それよりも凄惨な最期が待っていると語る方が抑止力になる。
“要让高德院咬紧牙关,实现最终目的。实际上,就像在长岛一样,他们最终也会将一向宗送回石山本愿寺,但是讲述有比这更残忍有关最后的命运会更能起到威慑作用。”
「私の予想とはいえ、それほど的を外してはいないでしょう。お三方は良くご承知おき下さいますよう、それを知って尚逃亡なさる気なら、どうぞ本願寺へお逃げ下さい。無論、我らも追手を放ちますが、逃げ延びる事も出来なくは無いでしょう」
“虽然只是我的猜测,但并不完全不准确。请您了解这一点,如果您决定逃亡,可以向本愿寺寻求庇护。当然,我们也会放出追捕队,你可能无法逃脱。”
「……」
“……”
「しかし、お忘れなきようご留意ください。一度(ひとたび)いくさが始まれば、多くの血が流れ、幾多の命が失われます。万にも及ぶ越前の民(・・・・・・・・・)の死を終生背負う覚悟(・・・・・・・・・・)が無いのなら、浅慮はおやめになることです」
“然而,请不要忘记一点,一旦战争开始,会有大量的血液流失,许多生命会消逝。如果你没有准备承担成千上万的越前民死亡的负担,那就不要冒险。”
淡々とした静子の語り口が恐怖を煽ったのか、四葩が震えで支えきれなくなった茶碗を地面に落とした。
静子平静的表述引发了恐惧,四叶颤抖着将茶碗掉在了地上。
おまけに腰まで抜けたのか、後ろに倒れ込みそうになったところを小少将が咄嗟に支えた。
此外,四叶的腰也不支了,差点后退倒下,小将军及时扶住了他。
戦場の椅子ゆえに背もたれがなく、それ故に倒れ、それ故に咄嗟に動けたのだが、支えた小少将も竦み上がっており、少し哀れに思えた。
因为战场的椅子没有靠背,所以我倒下了,但这使我能够立即行动,而支撑我的少将也不敢动弹,有些可怜。
「少し脅しが過ぎましたね。しかし、それは起こりえる未来です。越前に屍の山を築き、その地を鮮血に染めてでも我々に一矢報いるのか、それとも禍根を抱えつつも静かに余生を過ごすのか、その選択を担うのはご自身です」
“威胁有点过了。但这是可能发生的未来。您可以在越前建立一个骸骨堆,将那片土地染成鲜血,或者安静地度过晚年,这取决于你自己做出的选择。”
流石に高徳院はしっかりと静子を見返してはいたが、顔色は青ざめ、脂汗が浮いていた。
高徳院一直在凝视静子,但脸色苍白,脸上浮着油汗。
「勝敗は兵家の常、禍根を水に流せとは申しません。しかし振り上げた拳の下し先も必要でしょう。それを踏まえて、私は今からとある書類を紛失致します。敗因が何処にあったかを考えるのも良いでしょう」
“胜败乃兵家之常,不过并不是说扔掉祸根就好了。但是,也需要有一个打击的目标。考虑这点,我现在会让某些文件失踪。思考失败的原因也是好的。”
語り終えると静子は立ち上がって小姓から書状を受け取り、何気ない仕草で高徳院の方へと落としてから席に戻った。
讲完后,静子站起来接过小姓递来的信函,然后在高徳院那边随意地放下,然后回到座位上。
静子の意図が判らなかった高徳院だが、書状を開いて中を検めた彼女の秀麗な眉間に見る見る皺が刻まれた。
高徳院不明白静子的意图,但看着她检查信件的样子,她秀丽的眉头上很快就皱了起来。
「……いくさの行方は見えぬもの。親心としては、愚息に勝って欲しかった。ここまで追い詰められ、ようやく当主として相応しい働きが出来たというのに……」
"……战争的结果是看不见的。作为父母,我希望我儿子能够获胜。在这个关键时刻,他才能够表现出真正的领袖风范..."
込み上げる怒りを抑えるように、高徳院は書状を握り込んだ。
高徳院握紧了信件,以免愤怒涌上心头。
「しかし、この者たちは許せませぬ。隆盛の時は散々甘い汁を吸い、一族大事の折に当主に逆らうばかりか足蹴にし、あまつさえ当主を売り渡す輩など……」
“然而,这些人是不能原谅的。在我们辉煌的时期,他们吸了甜头,但在家族面临危难时,他们不仅反对家主,还抛弃家主,甚至卖了家主...”
静子が高徳院に見せたのは景鏡の助命嘆願が書かれた文の写しであった。
静子给高徳院看的是景镜辞世信中的哀求书的复本。
義景と景鏡の禍根で朝倉家が割れ、後の越前一向一揆にまで発展する以上、ここで災いの根を断っておく必要があった。
既然是由义景和景镜的祸根导致朝倉家分裂,并演变成越前一揆,那么现在需要切断祸根。
それは正道とは離れた政治的な判断であり、静子も本音を言えば、このような真似をしたくは無かった。
这是远离正道的政治决策,静子本人也不想这样做。
しかし、ここで禍根を断たねば、その芽は一向一揆という形で芽吹き、後に何万もの命が失われる。
然而,如果现在不切断祸根,那么芽措将会在一揆中萌芽,并且数万条性命将在此后丧失。
たとえ正道に悖(もと)ろうとも、時として為政者は非情な決断をせねばならないと言う事を、彼女は実体験としてその身に刻んだ。
即使违背正道,有时政治家也必须做出无情的决定,她深刻地体验到了这一点。
「……こちらの指示に従うのなら、景鏡に一矢報いる機会を設けましょう」
“……如果按照这边的指示行动,我们将会有一次报复景镜的机会。”
俯いて涙を堪えていた高徳院が、静子の言葉に面を上げる。
忍着泪低头的高徳院听了静子的话,抬起了头。
「ただし、我々が与えるのは機会のみです。景鏡を討つのか、それとも見なかった事にするのか、それは貴女がたの自由です。我々は強要致しません」
“不过,我们只是提供机会而已。要么击败景镜,要么假装什么都没发生,由你们自由决定。我们不强求。”
「しかし、これは……」
“但是,这个……”
「重ねて申します。これは明智様も、そして上様もお認め頂いている話です。あとは貴女がたの判断で決まります」
“再次声明。这是明智先生和上先生都认可的决定。剩下的就由你们自己决定了。”
「……」
“……”
「内通した者を売り渡すのは褒められたことではありません。しかし、裏切りというのは、本来露見すれば破滅する覚悟をして行うもの。これも私見ではありますが、恐らく上様にとって景鏡は既に利用価値がないのでしょう」
“出卖通敌者并不可取。但是,背叛本来就是一件要做好暴露后就会毁灭的事情。虽然这只是我的看法,但景镜对上先生恐怕已经没有利用价值了。”
静子は咳払いをした後、手を叩く。音に驚いて高徳院や小少将がビクリと背筋を伸ばす。
静子清了清嗓子,拍了一下手。高徳院和小少将被声音吓了一跳。
「今は余計な事を考える必要はありません。単純に、景鏡を赦すか、赦さないか。それだけです」
“现在不需要考虑其他事情。只需决定是原谅景镜还是不原谅。”
高徳院は視線を静子から書状に移した。暫く書状を眺めていた彼女だが、おもむろに書類を掴むと真っ二つに引き裂いた。
高徳院的目光从静子身上转移到了信件上。她注视着信件,然后突然抓住它,把它撕成了两半。
「宜しい」
“好的。”
それが高徳院の答えだと理解した静子は、近くにいる小姓へ命じて高徳院が裂いた書類を光秀に届けるよう手配した。
静子明白高徳院已经做出了决定,于是她命令身边的小姓把高徳院撕开的信件送到光秀那里。
一乗谷城陥落の報は直ちに信長へと届けられた。
一乘谷城的失陷立即传到了信长那里。
ただし、城下町を含めた一乗谷一帯の焼き討ちは未だ行われず、その理由として茶器などの名物品を回収し、戦費に充てるためと報告がなされていた。
但是,包括城下町在内的一乘谷地区并没有遭受焚毁,原因是为了回收茶器等特产,并用于战争经费,这一点已经上报。
全ての報告を聞き終えた信長は一言も言葉を発しなかった。その表情には何の感情も浮かんでおらず、対面して報告を終えた兵は額に汗をにじませ、唇が青くなるほどに噛みしめていた。
听完所有的汇报,信长没有说一句话。他的表情没有任何情感,向他汇报的士兵满头大汗,咬紧嘴唇。
左右に控える織田家重臣たちも、固唾を飲んで信長の言葉を待った。
等待着左右侍立着的织田家重臣,屏息等待着信长发表话语。
「報告、ご苦労であった。下がって良い」
“报告辛苦了,可以下去了。”
その一言を耳にした兵はホッと息を吐いた。礼をして足早に立ち去る兵を、信長はつまらなそうに見送った。実際に信長は興ざめしていた。
听到这句话,士兵们松了口气并作了礼,然后匆匆离去,信长无聊地送行。实际上,信长感到非常失望。
朝倉は滅び、小谷城に対しては秀吉が何やら盛んに動いている。浅井・朝倉討伐を掲げて出陣したと言うのに、自らの手で決着を付ける機会を得られない。
早已灭亡的朝倉家,小谷城似乎也成了秀吉热衷的目标。据说是为了讨伐浅井、朝倉而出兵,却没有机会亲自解决问题。
結果の判り切った報告を、ただ待つだけというのがこれほどに退屈だとは思わなかった。無聊を慰めようにも、それが出来そうな人間はこの場に居ない。
没想到只是等待肯定结果的汇报竟如此无聊。想要消遣一下,但身边似乎没有这样的人。
「父上、宜しいのでしょうか」
“父亲,可以吗?”
遠く離れた愉快の種へと思いを馳せた矢先、今まで沈黙を貫いていた信忠が信長に進言する。気晴らし程度にはなるだろうと考え、信長は信忠の発言を許す。
正当沉浸在甜蜜回忆中时,一直保持沉默的信忠向信长进言。考虑到应该会是一个消遣的机会,信长允许信忠发言。
「聞けば朝倉家当主及び嫡子は未だに斬首されず、一乗谷の焼き討ちも先送りにしている様子。戦費回収のため、茶器や名物を集めるとは言え、これでは些(いささ)か手ぬるいと思われます」
“据说早已灭绝的朝倉家当主和嫡子都没有被处决,一乘谷的大火也被推迟了。虽然是为了回收战争费用而收集茶器和名物,但这仍然有些过于温和了。”
「……奇妙以外は下がれ」
“……除了奇怪的话之外可以退下。”
頓珍漢な事を言いだした信忠に、信長は目頭を押さえて言葉を発した。指示通り、左右に控えていた重臣が去り、場に信長と信忠のみが遺されているのを確認して、信長は言葉を続けた。
信长压住眼角,拒绝了信忠的搏头之言。重臣们按照指示离开,只剩下信长和信忠两个人在现场。
「朝倉がどうなろうと、最早どうでも良いのだ。此度のことは静子が国人となれるか、その試練にさえなれば良い」
“朝倉的命运无所谓,对我们来说已经不重要了。对于静子而言,这次经历可以作为她成为国人的试炼,这就足够了。”
「試練……ですか?」
“试炼?”
「そうじゃ。静子はここ一番で詰めが甘い。武田とのいくさでも、奴は諏訪勝頼を取り逃しておる。長島一向宗でも同様じゃ。素早く統治するため、などと色々と理由を付けてはおるがな」
“没错。静子在最后时刻疏忽了。在与武田的战争中,她无法追杀諏訪胜頼,这在长岛一向宗也同样如此。尽管编造各种原因来加速治理,但事实上……”
「それは……」
“这是……”
見逃したままで良いのかと疑問を口に仕掛けて信忠は言葉を飲み込んだ。良くないと判断されれば静子は既に処罰されている。
信忠表达了自己的疑问,如果认为事情不妙,静子可能已经受到了惩罚。
現状静子が処罰されていない以上、信長は静子の甘さを理解しながら、それでも良しとしていたのだ。
现状下,信长虽然理解静子的温柔,但因静子未被处罚,仍然接受她。
「静子の甘いところにも利用価値はある。だが、為政者は時として非情な判断を下さねばならない。部下に死ねと命じることは出来たが、政治的判断で大を生かすために小を殺すことが出来ていない」
"静子的柔弱也有使用价值。然而,政治家有时必须做出无情的决定。虽然可以命令部下去死,但无法因政治决策而杀小人物去活大人物。"
「その試練を乗り越えるのに、朝倉は丁度良いと仰るのですか」
“早乙女您觉得这是克服这一困境的好机会吗?”
「そうじゃ。今までのように守るためではない。静子が自らの意思で攻め込み、政治的判断を下す」
“是的。不是为了守卫,而是静子将亲自进攻,做出自己的政治决策。”
「ですが……出来るのでしょうか。静子は今まで政治的な判断を避けてきましたから」
“但是……她能干到吗?迄今为止静子一直回避政治决策。”
「出来る。静子は必ずや敵を処断する。それが偶然朝倉であったというだけの話よ」
“她能干到。静子肯定会裁决敌人的。这次偶然的机会是在早乙女身上。”
今まで静子は雑兵や足軽、武将を討ってきた。だが他国へ攻め込み、国人を処刑する事はなかった。否、出来なかった。
静子一直打败散兵游勇、足轻、武将。但她从未入侵其他国家,也从未处决过国民。甚至可以说她不可能那样做。
本人が避けていたのもあるが、そういった冷酷な判断が必要な場面では、いつも信長や足満が代行していた。しかし、今回はそれを自身でしなければならない。
她本人不希望,而在需要冷酷决断时,信长和足满总是替她代劳。然而,这次必须由她自己做出。
「常に足満がいられるとは限らない。奴もいつか、その甘さゆえに静子の身が危険に晒される事を考慮し、わしの試練を黙って見守っている」
"足满不可能永远在她身边。考虑到她的温柔可能会让静子的生命处于危险之中,他默默地观察我的艰苦考验。”
「父上は静子をそこまで買っておいでなのですか」
“父亲这么看重静子吗?”
「無論じゃ。奴が立派な国人となれば、尾張を任せても良いとさえ思っておる」
“当然。如果她成为了一名优秀的国民,我认为可以把尾张省交给她。”
尾張を任せる、それの意味するところを信忠は痛いほどに理解した。自身のお膝元を任せるなど、信長の父の代から仕えている家臣にすら考えなかった事だ。
把尾张省交给她,这意味着信忠痛苦地理解。即使是对在信长的父亲那里服务的家臣,他从未考虑过要将自己的家乡交给他。
それを信長は静子が国人として一人前に成長したならば、尾張一国を任せても良いと言っている。そこまで特別視される事に、信忠は嫉妬を禁じえなかった。
信长说,在静子成长为一名合格的国民后,即使将尾张省交给她,也是可以的。信忠无法忍受被特别看待的情况。
「今はまだまだだがな。じゃが静子が国人となり、上杉や徳川と連携出来るほどに政(まつりごと)に長ければ東国の抑えは完璧となる。わしは西国の支配に集中出来る。背中を気にしなくて良いとは楽な話じゃ」
“现在还远远不够。但是,如果静子成为一名国民,在政治上足够与上杉和德川联手,那么东国就将完美控制。我将集中精力控制西部,不必担心背后。”
果たして静子は出来るのか、と信忠は疑問に思った。しかし、信長は既に確信をしているのか、自身の課した試練を静子が乗り越えると信じていた。
信忠觉得静子能否做到,他心存疑问。然而,信长已经有了信心,相信静子可以克服他给她的挑战。
そして時を置かずに信長の確信が正しかった事を信忠は知る。景鏡の首が信長の許へ届けられたその時に。
不久之后,信忠知道了信长的信念是正确的,当景镜的首级被送到信长那里时。
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